花びら染め。庭のサザンカを集めてダブルガーゼ生地を染めてみた

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快適な暮らし

草木染めをやってみたいと思い、庭のサザンカを使ってダブルガーゼ生地を染めてみました。

メモしておかないとすぐ忘れるので、ブログに記録しておきます。

花びら染めのやり方

花びら染めとは、花びらの色素を使って布や紙を染めること。

花びらに含まれる「アントシアニン」という色素を使って染める技法です。

用意するもの

  • 染めたい布
  • 花びら 染めたい布の重量の2倍量
  • 無調整豆乳 1L
  • 水 布が浸かる程度
  • 酢 水の半分~同量
  • 不織布の袋(ごみネットなどでOK)
    使い捨て手袋(手荒れ防止)

今回わたしが使用したダブルガーゼの生地は、幅110cm×長さ200cmで、重量は300g弱でした。

そこから計算して、花びらは600g以上用意すると良いということになります。花びらが多いほど色素がたくさん抽出できます。

今回は庭のサザンカを使いました。日々少しずつ採集し、冷凍庫で保存しておきました。

ちょっと多すぎました。1kg以上ありました。

豆乳は、コットンや麻など植物由来の生地を使うときに必要です。
逆に、シルクやウールといった動物由来の素材であれば、豆乳を使う行程は不要です。

水と酢の量はアバウトでいいですが、今回は多分水が1Lぐらい、酢を500mlぐらいかな?

花びら染めの手順

今回は綿100%のダブルガーゼ生地を染めるので、まずは豆乳を使った「濃染処理」をおこないます。

コットンや麻といった植物由来の素材は染まりにくいのですが、濃染処理をおこなうことによって色素を定着させやすくします。

【1】布を水に濡らして絞る(洗濯機の脱水にかけるとムラができにくい)

【2】バケツに豆乳と濡れた布を入れ、5分ほど揉む。その後1時間ほど放置する。できればたまに混ぜる。投入が足りなければ水を足してOKです。投入の3倍量まで足して大丈夫。

【3】絞って、脱水する。洗濯機の脱水にかけるとムラになりにくい。

すぐに次の染め行程をしてもいいですが、別日に染める場合はいったん干して乾かしておきます。

続いて、染めの行程です。
濃染処理のあと布を乾かしている場合は、また水に濡らして絞っておきます。

【1】花びらを不織布の袋に詰めて口を縛る(輪ゴムで留めてもOK)

【2】バケツに水と酢を入れ、不織布ごと花びらを入れ、手でぎゅうぎゅうと押して色素を出す。
泡立っているのはアクだと思います。アクを除いたりは特にしていません。

【3】布を浸して、全体に染液が行き渡るようたまに混ぜながら1時間~2時間浸けておく。

【4】布を取り出し、流水ですすぐ。染液が出なくなるまですすいだら、洗濯機で脱水して干す。

完成です。

花びら染めのポイントと、草木染めとの違い

花びら染めは草木染めの一種ですが、一般的な草木染めと違うのは「媒染が不要」「煮出さない」という2点。

一般的な草木染めでは、濃染処理・染めといった工程のほかに「媒染」という行程も必要です。
媒染とは、布につけた色素を定着させるためにおこなう処理のこと。

媒染には「先媒染」と「後媒染」ふたつの方法があり、要は染め行程の先にやるか後にやるかという違い。また、媒染に使う素材によって、仕上がりの色を変えることもできる。このへんは話すと長くなるので今回は割愛します。

また、一般的な草木染めでは染めの行程では熱を加えますが、花びら染めでは不要です。人によっては50度程度まで温度を上げるやり方もされていますが、それ以上の温度で煮出すようなことは誰もしていません。

花びら染めは、アントシアニンという色素を取り出すために「酸性抽出」というやり方を使うんですが、結局、このやり方には熱が要らないから、煮出す必要もないんですよね。

ほかには「中性抽出」と「アルカリ性抽出」があるのですが、中性抽出はシンプルに素材を煮ることで色素を取り出しており、アルカリ性抽出では重曹を溶かすために高い温度を必要としています。

媒染が不要で煮出す必要もない花びら染めは、もっとも簡単で、なおかつ火を使わないので安全、子どもと一緒に取り組みやすい草木染めだと言えます。

あ、でも一点注意してほしいのは、花びらでもかぶれたり毒があったりする場合もあるので、お子さんと一緒に染める際には子どもが花びらや染液を口にしないように、それから使い捨て手袋をすることも徹底したほうが良いと思います。

ヨウシュヤマゴボウを使うとけっこう鮮やかなピンクに染められるみたいなんですが、ヨウシュヤマゴボウは特に、毒がありますので気を付けてください。

花びら染めの特徴としてはほかにも、一般的な草木染めでは色がカーキっぽくなるものが多く、ほかには茶色や緑系など地味な色合いですが、花びら染めなら赤やピンク、紫といった色合いが楽しめます。

サザンカで花びら染めをした感想

今回はサザンカの花びらを使って花びら染めをしました。

サザンカは1本の木だけでもかなりの量の花が咲くので、開花シーズンになれば山ほどの花びらを採取できます。

あ、サザンカの場合、チャドクガという虫がつきやすく、触れると肌がかぶれることもあるので、採取の際にも園芸用グローブなどを使うほうが安全です。

こうして自然と触れ合っていると、怪しい自然派みたいな人たちが言う「自然素材だから安心安全」みたいな言説がいかにばかげているか痛感しますね。

触れるとかぶれるもの、食べるとお腹を壊すもの。自然の中にも危険がいっぱいです。

恐れるなら正しく科学的に恐れましょう。自然は善で科学時術が悪なのではありません。

さて、染めた布の画像をもう一度ご覧ください。

画像ではいまいち色合いが分かりにくいかもしれませんが、少なくとも、鮮やかなピンクでないことはお分かりいただけると思います。

実物も、うすーいピンクで、いかにも草木染めといった色合い。

染液はかなり鮮やかなピンクでしたが、すすいでいくうちにどんどん色が抜け、乾かしたらさらに色が抜けた感じです。

特に、赤みが抜けて、青寄りのピンクっぽくなりました。

このダブルガーゼ生地でインナードレスを作る予定です。

花びら染め以外にも、葉や枝を使った草木染めも楽しそうです。が、前述のとおり、色合いが地味なんですよね……。

かわいい色がよければ、やはり花びら染めが良いでしょう。もっといえば、シルクやウールなど動物由来の素材を使うほうがきれいに染まると思われます。

今回はサザンカと、実は少しだけバラの花びらも混ざっているのですが、もっといろんな花びらを混ぜてもいいと思います。

ちなみに、青系の色に染めたい場合、使える植物はほとんどありません。

青色の定番はタデアイで、その名の通り「藍色」に染める植物です。
もうひとつ、「クサギ」という植物の実を使うことでも、薄い青色に染めることができます。どこで手に入るねんって思いますが。

わたしは、今度はオレンジ色に挑戦したく、玉ねぎの皮をせっせと集めているところ。

サザンカのように咲き乱れてくれるわけでなく、自分で買って自分で消費しないと溜まらないのでけっこう時間がかかりますが、地道に収集していきます。

草木染めはけっこう手間暇かかりますが、おうち時間を楽しむにはぴったりな趣味で、お菓子作りと違って太る心配もないのでおすすめです。