子育て本って掃いて捨てるほどあるし、どれを読めばいいのかもよくわからなくなってしまいますよね。
わたしもかれこれ10年以上、さまざまな育児本を読んできたんですが、中にはしょーもないのもあるし、「それができたら苦労せーへんねん!」と思うものもあるし、最近は息子が中学生になったこともあり、あまり読んでいませんでした。
そんなわたしが久々に、読んで役に立ったのが、「世界に通用する子どもの育て方」です。
ayanさんがブログで紹介されていたのを見て、興味が出て買ったのですが、読んで正解でした!
ayanさんのブログはこちら↓
タイトル的に、もっと壮大な話なのかと思ってましたが、実際にはすべての親(もしくは親の代わりをしている保護者)に読んでほしい、具体的で実践的で、地に足のついた内容でした。
本屋さんでタイトルを見ただけだと「いや、別に世界をまたにかけて活躍するとかじゃなくて、普通に自分の食い扶持ぐらい稼いで楽しく生きてくれたらそれでいいんやけど」とか思ってしまいそうなわたしにも、実践したい内容がてんこ盛りでしたよ。
というわけで、読書レポートを残しておきます。
親は子どもが甘えられる安全基地
74ページ。
子どもの育つプロセスでは親が「安全基地」となり、子どもはそこで安心と安全を得ます。でもそのうちに、なんだか不自由を感じてきて、エネルギーが満たされたら、なんとなくまた冒険・挑戦したくなるのです。
子どもは、「安心→不自由→挑戦→不安→安心……」と繰り返して成長していくものです。
ということをわたしは知った上で息子を育ててきたのですが、ちょっと忘れ気味だったので、ここを読んで再認識できました。
なお、わたしがはじめにこのことを認識したのは、「子育てハッピーアドバイス」。
大ベストセラーですし、イラストたっぷりで読みやすく、内容も古くはないと思うので、今まさに乳幼児さんを育てている方にもオススメしたいです。
わたしは「子育てハッピーアドバイス3」まで読みました。
どれだけ愛していても、それが子どもに伝わっていないなら問題
85ページ。
問題は親が愛しているかどうかということより、その愛が伝わっているかどうか
子どもを愛していない親なんてほとんどいないけど、子どものほうは「自分は親から愛されていない」と感じていることがあり、それは、ちゃんと伝わっていないから。
ほんと、そうなんですよね。
いや、中には本当に愛情を持っていない親もいるのかもしれないけど、ほとんどの親は子どもを愛する気持ちはあるはずなんですよね、正しく伝わっていないだけで・・・。
でも、「わたしはちゃんと愛してるもん!!」と、子どもに伝える努力を怠ったことを反省せずに自分を守ることだけに意識がいってしまうような親にはなりたくないですよね。
愛するだけでなく、子どもにちゃんと愛情を伝える努力をするのも、親の務めなのだと思います。
愛の伝え方には6つの方法がある
86ページ。
前述のとおり、いくらこどもを愛していても、それが子どもに伝わっていないのであれば問題なんですが、じゃあどうしたら伝わるの?というのが86ページから書かれています。
具体的には6つの方法があるとのことですが、いずれを実践するにしても、「無条件の愛」と「条件付きの愛」を意識すべきとのことです。
なお、人によってどの方法が効果的かは違うので、相手にとって効果的な方法を探っていくことが重要なんですが、子どもは、以下の6つのうち「傾聴」「クオリティタイム」「スキンシップ」の3つが効果的であることが多いそうです。
- 傾聴と非言語コミュニケーション(体を向け、目を見て、笑顔と相槌を忘れず、子どもの話を遮らない。)
- 肯定的な言葉(好きだよなど直接的な言葉。その他、感謝や謝罪を素直に伝える、子どもの感情を受け止めるなど)
- クオリティタイム(親子どちらもが積極的に関わる行為。ボードゲーム、料理、スポーツなど)
- 身体的なタッチ、スキンシップ(ハグ、マッサージなどなど)
- サービス(生理的ニーズを満たす行動。報酬や罰に生理的欲求を用いてはならない)
- ギフト(誕生日やクリスマスなどを祝うこと。よいニュースを一緒に喜ぶこと)
うちはもう息子は中学生なので、スキンシップなどほとんどありません。
が、今でも背中をポンと叩いて励ましたり、ハイタッチをして喜びを分かち合ったりはできます。
成長段階に合わせて、できることをやっていきたいですね。
一緒に喜ぶ「ACR」で親子関係だけでなく夫婦関係も良くする
93ページ。
画像を引用しておきます。詳細は本書の解説を読んでくださいね。
右上にあるのが「ACR(Active Constructive Responce)」です。
ACRとは積極的・建設的な反応のことで、一緒に喜ぶ・「すごい、もっと聞かせて!」と伝える反応のことを指します。
さらにACRは親子間だけでなくカップル・夫婦間でも効果があるとのことで、とある調査では、ACRをしていたカップルは親密性・信頼性・満足度が高いそう。
特に、男性が学ぶと効果が大きいという指摘も。
たしかに、良いニュースを聞いたときの反応って人によってクセがありますよね。
わたしはわりと、左上のような反応をするクセがあるかも……と思いました。
いや、仕事や友人関係だとかなりポジティブな反応をするタイプなんですが、家族に対してはやや厳しくなるというか、喜びつつも「油断できないね」「気を引き締めないとね」的なことを言ってしまっていたような。
親しい間柄だからこそ、普段のなにげない働きかけが相手に大きな影響を与えてしまうこともあると思うので、意識してACRを使っていきたいなと思いました。
信頼関係を結ぶ正体は「オキシトシン」、ただし本当は怖い
99ページ。
オキシトシンというのは幸せホルモンとも呼ばれるもので、育児をする上では絶対に欠かせません。
見つめ合う、共感してもらうなどでオキシトシンが出るけど、特にスキンシップで分泌されるそう。
母親は、出産時や授乳時に大量にオキシトシンが出るので、自然と子どもと愛着関係が作れるんですね。
とはいえ父親でも、母親と同じレベルまでオキシトシンレベルが上がる方法があるんです。
その方法とは、スバリ「子どもを触ること、世話すること」です。とくに幼いときほど大切です。
息子を生んだ約14年前だと、まだ「イクメン」という言葉すらありませんでしたが・・・最近はがっつり育児しているパパさんもめっちゃ多いし、とても良い傾向だなーと思います。
一方で、本当は怖いオキシトシン。
オキシトシンは、育児をうまくやっていけるように出るホルモンなので、育児に協力的でない対象に向かっては攻撃的になるのです。
そう。
育児をしない夫に殺意がわくという話はよく聞きますが、これはホルモンの影響も大きいのですね。
子どもを「批判」せずに「支援」する
112ページ。
親から責められていると感じた子どもは、期待の高低にかかわらず自尊心が低く、そう感じていない子どもは、期待が高くても自尊心は高かった
親からの期待が大きいと子どもがプレッシャーに感じてしまう、といったイメージはありますが、実は期待が大きいかどうかではなく、「子どもが親から責められていると感じているかどうか」によって、子どものプレッシャーが変わるんですね。
期待はしていいんです。
子どもを批判しなければ。
具体的に、批判しないで支援する方法としては以下の3つが書かれていました。
- 悪いことを人格のせいにしない、行動や状況の問題を指摘する
- 「あなた文」ではなく「わたし文」を使う、アサーティブ・コミュニケーション
- 暴力的なセリフは使わない
「あなたってこういうところが良くないよ」「あなたはこうしたほうがいいよ」と言わない。
「わたしは、あなたのこういうところが良くないと思っている」「わたしは、あなたにこうしてほしいと思っている」という言い方です。
わたし文なら押しつけがましくならないし、自然を相手を責める言い方をせずに済むのでオススメです。
うまく思い浮かばなくても、とにかく「わたしは・・・」と言ってしまうことで、強制的にアイメッセージが口から出るよう意識したりしています。
セルフコンパッションを身につける
116ページ。
大切な人を思いやるように、自分を思いやること
セルフコンパッションとは、こういう意味です。
自分を思いやる習慣がない人は、以下の3ステップを意識するとよいと思います。
- ステップ1 マインドフルネス
ネガティブな感情に過度に反応せず、ただ眺めるような感覚 - ステップ2 人としての共通性
人は不完全だからこそつながりあっているという感覚。そういうこともある・わたしだけではない - ステップ3 自分への優しさ
大切な人にしてあげたいことを自分のためにしてあげる
「しなやかマインドセット」と「こちこちマインドセット」
136ページ。
能力についてどのようなマインドセットになっていますか?
- 能力は生まれつき決まっているもの:こちこちマインドセット
- 能力は努力で伸びるもの:しなやかマインドセット
大きな功績をあげた人に共通しているのが「しなやかマインドセット」を持っていることだそうです。
で、しなやかマインドセットを育てる方法というのも書かれていました。
- 能力は伸びることを伝える
- 能力や結果でなく行動やプロセスをほめる
- 親が失敗を悪いものとして扱わない
わたしはつい、自分を励ますために「わたしって天才!」と思いがちだし人にも言いがちなんですが、あんまり良くないですね。
もっと、行動やプロセスに意識を向けていきたいものです。
ほめるときにはプロセスフォーカス
151ページ。
人格や結果ではなく、行動や努力に注目するっていう、前述の「しなやかマインドセット」にもつながる話。
ポイントは以下の通りです。
- 個人の能力、性格、結果ではなく、努力、頑張り、集中したことに注目。
- 今すぐ正しいではなく、忍耐力、かけた時間、挑戦した勇気に注目。
- 他人との比較ではなく、以前と比べてその子が成長したことに注目。
- 好きなところ、感謝を伝え、共感することが大切。
- 質問が大切(それをやったときの気持ち、うまくいったときの原因)。
強みを見つけるVIA
158ページ。
強みを見つける方法の例がいくつか挙げられていたのですが、その中で気になったのがVIAというもの。
「性格の強みの調査票」というサービスで、ストレングスファインダーに似た感じのものです。
ストレングスファインダーはこれ。
さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 〈ストレングス・ファインダー2.0〉
本についているコードをWebサイトに入力するか、アプリから直接購入する方法もあるようです。
予算は2,000円ぐらいかな?
なお、わたしが数年前にやってみたところ、ストレングスファインダーでの強みは「学習欲」「達成欲」「最上志向」「戦略性」「着想」でした。
今やったらまた変わってるのかも。
そして今回VIAのテストをしてみたところ、上位5つは「親切心」「忍耐力」「公平さ」「知的柔軟性」「創造性」でした。
ちなみに、全24種類の分類の強みランキングの発表までは無料です。
詳細レポートを見るには50ドル必要とのことですが、和訳が微妙なので購入は見送りました。
子ども用のテストもあるので、無料分だけでも試すとよいかも。
子どもをコントロールするのではなく自律性を尊重する
164ページ。
報酬や罰は効果が見えやすいからつい使ってしまいますが、人は自分で決めたいという欲求を持っているそう。
だから子どもが成長するにつれ、報酬や罰は効かなくなるんですよね。
世帯年収や学歴よりも、「自己決定」が幸せに関係しているという話もあるので、子どもに自分に決めてもらうことが、子どもの幸せのためには必要というわけです。
「自分で決めたい」という感覚は生まれながらに誰もが持っているものです。これが満たされないと、食欲が満たされないのと同じように心の健康を害し、さまざまな問題が生じます。
子どもに「自立」してほしいと望むなら、その子の自己決定を尊重する「自律」から始める
わかっていても簡単には実践できないところではありますが、意識して少しずつでも実践する努力は怠ってはいけないな、と感じました。
自律性を尊重しつつ、子どもの行動を制限するには?
180ページ。
本人が自主的にがんばっていることについては自己決定にゆだねるのがいいですが、やりたいことをやらせるだけでは「迎合」しいるだけで、「支援」していることにはなりません。
たとえばゲームをやりすぎないようにする、宿題をちゃんとやるなど、子どもが進んでやってくれないことに関して、自律性を損なわないように制限するにはどうすればいいのか。
こうした方法が紹介されていました。
- まずやりたくない気持ちに共感し、その気持ちを認める
- なぜそのことが大切なのか、合理的な理由を説明する
- 圧力を最小限にした言い方や質問の仕方で伝え、選択の余地(自己決定)を与える。
例えばこんな感じです。
友達とゲームをするのが楽しいのはわかる(共感)。
でもあなたはまだ中学生で、これからいろいろなことを学んでいかなければならないから、勉強もしてほしい(説明)。
どうすればいいか考えてね(自己決定)。
自分で決めることで、責任感が生まれます。
親が決めてしまうと、親のせいにしてしまいます・・・。
子どもの課題を取り上げない
187ページ。
親の課題と子どもの課題を切り離し、子どもの課題を取り上げないようにすることも書かれていました。
学校の準備をすること、朝、時間に遅れないように家を出ることなど、本来は子どもの課題であって、親の課題ではありませんよね。
とはいえ、まだまだ親がお世話してあげないといけないことも多い子どもに対して、どうすればうまく課題の分離ができるのでしょうか?
本に書かれていたのをわたしなりにまとめると、こんな感じです。
- 子どもの成長段階に合わせて、親がコントロールを手放し自律を促す。
- 課題の難しさとスキルレベルを調節するのが親の役目。
- 難しすぎると不安になるし、やさしすぎると退屈。
親自身が圧力を感じていると子どもにも影響してしまう
212ページ。
親が感じている圧力は子どもへ向かってしまう、といったことが書かれていて、ドキッとしました。
子どもに圧力をかけてしまうと親が安全基地ではなくなり、自尊心を傷つけ、自己効力感も下がると……。
たしかに、わたしも自分がパワハラに遭っていたときとか、自分に精神的な余裕が持てないと、子どもにキツくあたってしまうこともあったなと思います。
親自身が、関係性、自己効力感、自律性の欲求を満たし、多様性が尊重される環境にいなければ、子どもたちにそのような環境を用意することは難しい
とのこと。
本当にそうですね。
まとめ
この本は、ほかにも読む人によっていろいろな気づきがあるのではないかと思える、情報量が多い上に情報の質も良い本だと感じました。
また子育てだけでなく、夫婦関係やその他さまざまな人間関係においても役立つ内容も数多く含まれています。
内容が濃いだけに読むのに時間がかかってしまうかもしれませんが、むしろ「時間をかけて読むぞ」と覚悟を決めて、毎日少しずつ読みながら血肉に変えていくのがオススメですよ。