DeNAが運営するサイトにさまざまな問題があり、10個のサイトが非公開になるという事件がありました。
ここ数日はテレビ番組でも大々的に取り上げられることもあったので、なんとなく知っている人は多いでしょう。
わたしはクラウドソーシングを利用しているどころか、クラウドソーシングに出会ったおかげでWebライターとして稼げるようになり、もう4年が経ちました。
正直DeNAのメディアとは全然関係ないんだけど、クラウドワーカー(クラウドソーシングを使って働いている人)として、また、Web業界に身を置く1人として、思うことを書いておきたいと思います。
そもそもDeNA問題って何?って人のために解説します
知ってるよって方は飛ばしてね。
今問題になっているのは、DeNAが運営していた10個のサイトです。
Welq(ウェルク)・iemo(イエモ)・MERY(メリー)・Find Travel(ファインドトラベル)・Cafy(カフィ)・JOOY(ジョーイ)・GOIN(ゴーイン)・UPIN(アップイン)・PUUL(プウル)・cuta(キュータ)の10個。
これらはまとめて「DeNAパレット」と呼ばれます。
すべて、キュレーションメディア、キュレーションサイトと呼ばれるジャンルのWebサイト。
キュレーションとは?
キュレーションとは、さまざまな情報を、特定のテーマにもとづいてまとめること。まとめる人のことを「キュレーター」と呼んだりもします。
たとえばNaverまとめは、ネット上のさまざまな記事から必要な部分だけ引用して、1つの記事に仕上げていますよね。
これがキュレーションサイトです。
Twitterのツイート内容をまとめた「Toggetter」もキュレーションサイトです。
DeNAパレットの何が問題?
キュレーションサイトは他にもあるのに、なぜDeNAのサイトだけが問題になっているのでしょうか?
それは、「やり口が汚い」のと、「組織ぐるみだったから」。あと、「目立ちすぎたから」だと思っています。
ほかのキュレーションサイトでも、「これはアカンやろ」っていう記事はありますし・・・。
DeNAは野球球団を持つほどの大企業で、しかもあまりにも上手く軌道に乗せたため、目立ちすぎた。
特に、医療情報を扱う「Welq」がマズかった。
命や病気というデリケートな話題を素人に書かせ、挙句その情報が間違っていたりオカルトに走ったりしてたから。
そして、組織ぐるみで問題行為がおこなわれていた、という点が悪すぎです。
モラル無視のリライト、改ざん
具体的には、たとえば他サイト記事のリライト。
キュレーションとは、他サイトからの引用を交えつつ情報をまとめて記事にすることです。
引用ではなくコピペ・リライトはダメです。
コピペ、つまり丸写しする場合、部分的にやるなら「引用」という正当な手段があります。詳しくは割愛しますが、引用するなら、引用しましたとわかる形で書かなければなりません。
リライトとは、元の文章の意味を変えずに文章を書き直すことを言います。
そのままコピペだとパクったっていうのがバレるから、リライトするわけ。
実害も出ている
間違ったリライト以外にも、画像引用の方法などにも問題があったようです。わたしはDeNAのサイトで仕事をしたことはないので詳しくは知りませんが。
DeNAの記者会見によると、サイトごとにマニュアルは違ったようなので、そこまでひどくなかったサイトも、あったかもしれません。
ただ、こういう汚いやり方を、キュレーター(ライター)個人でやっていたのではなく、組織ぐるみでやっていたからタチが悪く、問題になっているんですね。
大企業の資本力によってこうした悪い記事が大量生産され、あっという間にGoogleの検索結果にはDeNAパレットのキュレーションサイトが溢れるようになりました。
記事をパクられた方のサイトの検索順位が下がったり、記事をリライトというか内容まで改ざんされたりした人はたくさんいます。
※webサイトにとっては、検索順位というのが非常に重要です。上位に表示されるほど見てもらいやすく、順位が1つ下がるだけでも大問題なのです。
そして、web業界以外の一般ユーザーの中には、こうしたキュレーションサイトの間違った情報を鵜呑みにしたせいで被害を受けた方もいらっしゃいます。
低単価は問題じゃないと思うんだ。
今日の記者会見の中でも、「1文字0.5円という低単価で……」みたいな質問が出ていましたが、個人的にはそんなに問題じゃないような気がします。
2,000文字で1,000円、みたいな感じらしいですが、わたしも過去には0.5円で書いてましたし。
あえてDeNAさんの表現を借りるなら「ライト」な記事なら文字単価0.5円でも、それでやりたい人がいるなら別にいいやん。って思う。
わたしが実際にやっていた案件だと、もう3年前になりますが、立ち上げたばかりのメディアに入れるお役立ち系の記事を書いていました。家事とか家計管理とかね。
わたしはまだWebライターという仕事に慣れてきたばかりのころで、「書けるだけ書いてください!」と言われていたので1か月で20万文字とか書いたっけ……。
正直、お小遣い稼ぎのつもりでクラウドソーシングに登録して、ライトな、つまりちょっとしたコラムとか、体験談とか、そういうのを書くだけなら、文字単価も低くて当然だと思う。
むしろ、安くても仕事がある方がありがたいって感じだったしな。
問題は単価じゃなくて、やっぱり仕事の内容じゃないかしら。とは言え、文字単価0.5円で記事書かせて画像用意させてってやっぱり安いとは思うけどね。
雇われてるわけじゃないんだから、安いと思うなら請けなければいいし、低単価かどうかはそこまで問題じゃないとは思います。
ただ、あの単価であの仕事内容を発注していたという事実は、発注者は恥ずかしいなーと。
やっぱり教育問題に落ち着く
DeNAがやったことは、完全に間違っています。
でも、それを見抜けなかった方にも、問題はあるんじゃないかな。悪いというんじゃなくて、防ぐ方法はあったはずなんです。
ライター側にリテラシーがあれば……って思いませんか?
マニュアルを渡された時点で、「やべーなこのサイト」って気づいて辞退した人はいます。
わたしも反省する点はあります。問題に気付いた時点で、DeNAで受注してる人に話を聞くべきだった。そうすれば、みんなに「やらない方がいいよー!」って言えたのに。
実際note内とかで「やらないほうがいい」とは言ってたんだけど、それは「やっても大した経験にならないから」という理由だったし、まさかあそこまで組織ぐるみであくどいことをやってるとは思わなかった。
知っていれば、いくらでも防げた。
Welqとかのサイトを見ていた一般ユーザーも、情報リテラシーがあれば参考にしなかったはずなんですよね。
「病気について書いてるけど、このサイトって信用できるのかな? このライターって信用できるのかな?」って。
「正しい情報を見分ける方法」は、ちゃんと知っておきたいですよね。わたしは自分の子どもには教えています。
が、学校でも教えてくれたらいいのにな。
正直、親世代ではほとんどわかってる人がいないから。
問題はDeNAだけじゃない
テレビでWelq問題を見たという人は知らないでしょうが、DeNA以外の会社が運営しているキュレーションサイトも、実は非公開にしたり該当記事を削除したりしています。
ほかにも、小さなメディアがほかにもたくさん、「組織ぐるみでいい加減な記事を書いていた」という実態があるはず。
クラウドソーシングで募集されている案件の中には、やっぱり「これ、大丈夫なん?」というものもあるから。
ちなみに、わたしが利用しているランサーズでは、ブラックな案件やグレーな案件を通報できる機能があるし、運営側もちゃんと監視しています。
が、発注側と受注側で個人的にやりとりしている部分にまではチェックできない。受注してから「え?これダメなんじゃないの?」という内容が分かることもあります。
DeNAの案件もランサーズ内で募集されていたし、実際にランサーズがどこまで把握していたのかはわたしにも分かりません。
ただ、ランサーズで働く社員さんたちは本当に誠実な方ばかりです。わたしはいちユーザーであると同時に、ランサーズの社員さんたちともお会いする機会が多いので知っています。
今まで何十人という社員さんたちにお会いしていますが、みなさん本当に仕事に対して真剣で誠実です。
テレビで繰り返し「クラウドソーシングが~」と流れるたびに胸が締め付けられるような思いでした。
こんなことで評判が落ちるなんてつらい。
でもそれはそれ。これはこれ。
DeNAだけじゃなく、いい加減で不誠実な仕事をする会社や人にはいなくなってほしいし、きっと、今回の問題がそのための一歩なんだと思いたいです。