30年以上アトピーだったわたしのアトピー攻略法。標準治療を成功させるためのコツまとめ

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体づくり

わたしは赤ちゃんのころからアトピー性皮膚炎でした。

といってもつねに肌荒れしているわけでもなく、ましてや入院するような経験も一切なく、比較的軽いほうだと思います。

アトピー性皮膚炎には「完治」という概念はないので今もアトピーということにはなるのですが、もうこの数年は「克服した」と言える状態で過ごしています。

以前のブログでも少し書いたことはあるのですが、その記事は消してしまったし、改めてしっかりまとめておきたいと思ったので、ここに記録しておきます。

この記事は、アトピー治療してるけどなかなか良くならない大人の方はもちろんのこと、アトピーっ子を育てている保護者の方にも読んでいただけたらと思います。

親がアトピーでなくこどもがアトピーの場合、親にはアトピーのつらさがわからないですし、わからないがゆえに間違った対処法をとってしまうこともよくあることですので・・・元アトピーっ子として、お願いします。

最後に、オススメの本も紹介しています。

アトピー攻略は標準治療を正しくおこなうことが大前提

わたしが実践してきた(今も実践している)アトピー攻略法は、とにもかくにも

標準治療

です。

標準治療とは、医学的に「アトピー性皮膚炎の治療ってこれが基本だよね」とされている治療方法のことだと思ってください。

わたしもアトピーで苦しんできたのでよくわかりますが、怪しげなサプリメントや美容液などに惑わされてはいけません

「少しでも効くなら試してみたい」って気持ちもめちゃくちゃわかりますが、医薬品以上に効くサプリや化粧品なんてあるわけないんです。

塩塗ったり砂糖塗ったりしてもダメ!!

(あれ、なぜかマシになったような気になるんですよね)

とにかく、アトピーに立ち向かうためにはそういった「民間療法」的なものとは決別してください。

皮膚科の先生と二人三脚でおこなう標準治療こそが、アトピー攻略の根幹となります。

ただ、この「標準治療」というのがクセモノで、正しくできていない人がかなり多い印象。

わたしもいろんな皮膚科にかかりながら少しずつ学んでいった感じなので、良い皮膚科に巡り合えていなかったら正しい標準治療なんてできないと思います。

だから以下からは、標準治療のことをわたしなりにまとめます。

標準治療は塗り薬と保湿の2本立て

アトピー攻略のために必要なのは、まずは以下の2点です。

  • 塗り薬の塗り方をマスターする
  • 保湿のやり方をマスターする

それから、皮膚科ではアレルギー検査をすることもありますが、アレルギーがあるなら特定するに越したことはないと思います。

わたしの場合、スギ花粉だとかハウスダストだとかこまごまとアレルギーがあるのですが、埃っぽい場所に行くと悪化することがわかっています。
それから、珍しいのですが、ロウソクがダメみたいです。

アロマを焚いている職場で働いていたときや、家に仏壇があった時期はかなりアトピーが悪化していました。
ロウソクが原因なのではと気づいたときに実験してみましたが、火を灯していなくても、キャンドルを置いているだけで皮膚がかゆくなりました。

このように、アレルギーがある場合はそのアレルゲンを除去することもやっていったほうがいいとは思います。

ただやっぱり、それ以上に、塗り薬と保湿剤の使い方をマスターするほうが重要です。

塗り薬の塗り方はFTU(フィンガーチップユニット)で

では具体的な攻略法を紹介しましょう。

アトピーの塗り薬と言えば「ステロイド外用薬」が定番ですよね。

反ステロイドの方も少なくないのですが、アトピー攻略にはやっぱり欠かせない薬だと思います。
使い方さえ間違わなければおかしなことにはなりません。

ストロング、ベリーストロングなど強さの種類があり、部位ごとに使い分けることになっています。

さて、ステロイド外用薬は「FTU(フィンガーチップユニット)」という考え方で塗ってください。

これは、塗る量の目安を教えるもの。

人差し指の先端から第一関節まで薬を乗せ、その量を手のひら2枚分の範囲に塗り広げる

というのがFTUの考え方です。

※大人の手のサイズで考えてください。

第一三共ヘルスケアのこのページがわかりやすいです。

皮膚用薬(塗り薬)ってどのくらいの量を塗るのがいいの?|ひふ研|第一三共ヘルスケア
ひふ研が提供する、Q「皮膚用薬(塗り薬)ってどのくらいの量を塗るのがいいの?」のQ&Aページです。ひふ研は、第一三共ヘルスケアが提供する、皮膚症状、皮膚薬の使い方の疑問に答える情報サイトです。

けっこうべたべたすると思いますが、これぐらい塗ってこそ、しっかりと効果が得られるわけですね。

なお、わたしは昔通っていた皮膚科で消火活動のたとえを聞き、わかりやすいと思いました。

火事が起こったとき、ちょろちょろと水をかけていても火は消えませんよね。
一気にドバっとかければ、火は消えます。

アトピーの炎症も同じで、副作用を恐れてちまちま塗ったところで治まりません。
一気に鎮圧してやる!と、がっつり薬を塗ることが大事なんですね。

また、薬を擦り込むのもNGと教わりました。
炎症を起こしている皮膚の表面はでこぼこになっているけれど、擦り込んでしまうと皮膚が盛り上がっている部分に薬がしっかり塗れないとのことでした。

そういったことを聞いてからは、たっぷりの量を、擦り込まずに炎症全体を包むように塗り、短期間で一気に治すよう意識しています。
(そして実際、短期間で治まります)

保湿剤はワセリンを使いこなす

アトピーは、保湿も重要です。

皮膚炎の治療中も、保湿が大事ですし、皮膚炎がおさまっているときも、保湿をしっかりしておけば皮膚炎の再燃が防げます。

保湿の定番といえばワセリンです。

皮膚炎が起こっているときだと刺激の強いものは塗れないので、シンプルなワセリンが使われることが多い。

で、ワセリンの塗り方ですが、ステロイドと違って「ほんの少し」で大丈夫です。

お風呂上がりに全身の保湿をするときには、「体を拭く前」に保湿します。

ワセリンを濡れたままの指先にとったら手のひらをこすり合わせてのばし、それを弱い力でなでるように、サーッと全身に塗ります。

ゆっくり塗り込む必要はありません。「サーッ」で大丈夫。

顔は、最後にハンドプレスしてつける感じがいいと思います。

お風呂上がり以外のときに保湿するときでも、手を濡らしてからワセリンを扱うと塗りやすいですよ。

また、炎症がおさまっているときにはヒルドイドなどヘパリン類似物質の保湿剤を使うことも多いと思いますが、わたしはこれも同じように、手や体が濡れた状態で使っていました。

今は、ワセリンかベビーオイルで保湿することが多いです。

薬や保湿剤の「べたべた」対策

ステロイドの塗り方について、理屈はわかっていても実際には難しいですよね。

だって、べたべたになるから。

そんなべたべた状態でどう生活すればいいわけ?と。

わたしが実践していた方法は「布でぴったりと覆う」です。

わたしは脇や背中、ひじなどがひどかったのですが、ヒートテックの長袖インナーを着ていました。
すると、包帯を巻いたみたいな感じで背中も脇もひじも覆えるので、服が擦れてかゆくなったりべたべたが気持ち悪くなったりしません。

手の場合は綿手袋。
足なら足指靴下がいいと思います。

どうしても、仕事中などは覆いきれない部位もあると思いますが、昼間は生活に差し支えない範囲内の塗布にとどめておけばいいです。

その代わり、お風呂あがりにしっかり薬を塗って布で覆った状態で寝るのを数日繰り返せば、炎症はかなり改善されるはずです。

ただ、薬を塗りたくった状態だとインナーもべたべたになりますし、普通に洗濯しても薬が落ち切らない場合があります。
わたしは温水で洗濯していたのですが、お風呂のついでにお湯で軽く手洗いし、その後普通に洗濯する、というやり方もいけそうです。

プロトピックの攻略

ステロイドとは別に、プロトピックという薬もあります。
わたしは顔に使っていました。

プロトピックって、死ぬほど熱くないですか?

塗ったところがカッカしてきて、火照るというより焼ける・熱い・痛い!って感じ。

それがつらすぎて、はじめはすぐやめちゃいました。

その数年後、上手な塗り方を発見して、顔のアトピーもほとんど出なくなりました。いや、まったく出てないです。

プロトピックの焼けるような熱さは、数日で慣れます。
だから、その数日をどう過ごすかが大事なんです。

わたしは、「塗って、熱くなってきたらすぐに洗い流す」という方法を実践しました。

べたべたしてなかなか流れないから、ティッシュでざっとふき取ってから洗うといい感じです。

はじめから戦略としてやったわけではありません。
ただただ、熱くてつらすぎるから洗い流しただけ。

それでも懲りずに翌日もチャレンジ。
でも熱くてやっぱり洗い流す。

けど3日目ぐらいから、「なんか慣れてきたかも?」と思えるようになりました。

少しずつ洗い流すまでの時間が長くなって、1週間後ぐらいには塗ったまま寝られるようになりました。

そこからはあっという間。
一気に顔の皮膚がきれいに治ったのでした。

ちなみに、わたしが使っていたのは「小児用プロトピック」。

きれいに治ってからも、数日間は塗り続け、徐々に塗らない日を増やしていく、というやり方でやめるのがオススメです。

見た目はきれいでも、炎症は完全に治っていないことが多いので、しばらくは塗り続けたほうがいいみたいですよ。

皮膚科のかかり方

わたしもこれまでいくつもの皮膚科にかかってきましたが、やる気ない皮膚科医もいるし、説明不足だったり偉そうで質問しにくかったりして行かなくなることも多かったです。

最終的にわたしがアトピー攻略にいたったときに通っていた皮膚科は、今もたまにお世話になっています。
今でも部分的に肌が荒れることはあるので、そういうときにお薬をもらいに行く感じ。

で、自分自身の経験をもとに皮膚科の選び方をまとめるとしたら、こういったところがポイントになるのではないかと。

  • 威圧的ではなく話を聞こうとしてくれる、一緒に考えてくれる姿勢
  • 前回の結果を丁寧に確認し、薬を調整してくれる
  • 薬の塗り方を丁寧に教えてくれる(実演してくれる・レジュメをくれる等)
  • 通いやすい場所・予約システム
まず、一番大事なのは、威圧的ではないこと!
物腰が柔らかく、一緒に治しましょうという姿勢の先生!!

そういう先生にあたるまで、どんどん病院をかえていいと思います。

二番目も似たような内容です。丁寧に診察してくれるかってところ。

結局は標準治療を実践すればアトピー性皮膚炎ってかなり抑えられるはずなんだけど、正しい薬の塗り方がわからなければ、実践しようがない。
だから、薬の塗り方をとことん教えてくれる皮膚科が、いい皮膚科なんじゃないかなって思います。

わたしがこれまで行った中で、実演して見せてくれた先生は2人だけでした。
(皮膚科自体は10か所以上行ってると思う)

最後、場所や予約システム。
物理的に、通いやすいかどうかってところですね。

わたしが通っているところは、バス1本で行けて、「アイチケット」で予約できます。

予約状況も確認できるから、急に思い立ったときも「あ、今すいてる!」っていうタイミングでさっと行けるのがいいです。

ドラッグストアで買える薬について

ステロイドや保湿剤は、ドラッグストアでも手に入ります。

でも、基本的には皮膚科で処方してもらうほうがいいと思っています。

理由は以下2点。

  • 皮膚科のほうが安い(保険がきく)
  • 市販のステロイド剤は弱い
まず値段の問題ですね。
皮膚科で処方してもらえば保険適用になるので、断然安いです。
交通費かけて病院に行ったとしても断然安いです。

次に、ステロイド剤の強さの問題。
ステロイドには強さのランクがありますが、市販のステロイド外用剤は「weak(弱い)」「medium/mild(普通)」「strong(強い)」の3種類のみ。

処方薬だと「very strong(とても強い)」「strongest(最も強い)」といった強いステロイド剤もあります。

もちろん強ければいいというものでもないんですが、部位や症状にあった強さのステロイド剤を選ぶことが重要ですし、大人の体のアトピーだとストロング以上の強さを使うことが多いと思われるので、ドラッグストアのステロイド剤では太刀打ちできない気がします。

なお、プロトピックはドラッグストアでは手に入りません。

さて保湿剤については、普通にドラッグストアで買えます。

ワセリンなら白色ワセリン、ベビーワセリン、サンホワイト、ヴァセリンなどの種類がありますね。
どれを選んでも大丈夫ですが、あとはテクスチャやパッケージの好みですかね。

それから、ヒルドイドのようなヘパリン類似物質クリーム。
HPクリームやヘパソフト、ピアソンなどの種類があります。

クリームタイプやローションタイプなどいろいろ選べますし、大きさもさまざま。
好みで選んでください。

ただ、保湿剤についても、皮膚科で処方してもらうほうが安価で手に入ります。
美容目的でヒルドイドを大量処方してもらう人が続出したという問題もあったほどですしね。
(アトピーをはじめ本当に必要としている人が困るのでマジでやめてほしい)

ちなみにわたしは、現在は定期的に皮膚科に行く必要もなくなっているので、ワセリンはドラッグストアで購入したものを使っています。

たまにアトピーの症状が出たときは、ドラッグストアではなく皮膚科に行って必要な分だけ薬を処方してもらっています。

といってもこの3年ほどで2回行っただけですが。

なるべく健康的な生活を

吉野家のライザップ牛サラダ

アトピーを攻略のキモは、良い皮膚科医を見つけることと、良い皮膚科医とともに正しい標準治療を続けていくことです。

で、言うまでもないような気もしますが、なるべく健康的な生活を送ってください。

栄養の偏った食生活、極度の運動不足や不潔な生活などはダメです。睡眠不足もダメ。

完璧な生活なんてわたしもできていませんが、「忙しいから仕方ない」と言ってなにもしないのでは、アトピーにも良くないはずです。

生活習慣がぐちゃぐちゃになっているとメンタルにも悪影響ありますしね。

アトピーが治らないとメンタルにも影響してきますし、悪循環だと思うので、できるだけ健康的な生活を意識して、自分を大事に扱ってあげることが大事かな、と(生活をいい加減にしているのは、自分を大事にしていないということにもつながると思うのでよくない。。)。

1冊本を読むなら「アトピーの治し方」

長くなってしまいましたが、わたしが実際にやってきたアトピー対策はこんな感じですが、わたしはお医者さんではないので医学的に正しくないことも書いているかもしれません。

お医者さんが書いたアトピー治療の本でオススメなのがこちらです。

読んだときのわたしの感想は、このツイートのツリーに書いています。

アトピー性皮膚炎は決して珍しい病気ではありませんしよく見かけますが、正しくケアできてなさそうな人もすごく多く感じます。

一人でも多くの方が、アトピーを攻略してコントロールできるようになればいいな。